【海外論文】再発・難治性MM、 イベルドミド+デキサメタゾン併用療法で


若年者症候性骨髄腫患者に対して2 回連続自家造血幹細胞移植(タンデム自家移植)を行うことは1 回(シングル)移植と比べて生存期間を延長させるか


[PDF] 対象疾患 No レジメン 多発性骨髄腫(MM) MM-13

65 歳未満の初発例を対象としたフランスのランダム化試験では,VAD 療法(VCR, DXR, DEX)による寛解導入後メルファラン(MEL)200 mg/m2 (MEL200)群とMEL 140 mg/m2+全身照射(8 Gy)群に割り付けられている。結果として,完全奏効(CR)割合は両群で有意差はみられなかった(35% vs 29%)がCR+最良部分奏効(VGPR)割合はMEL200 群で良好な結果であった(55% vs 43%,p=0.06)。各群20.5 カ月と20 カ月の観察期間で,45 カ月後の全生存割合(OS)は65.8%と45.5%でMEL200 群が優位に優れていた(p=0.05)。一方,無イベント生存期間(EFS)はそれぞれ20.5 カ月と20 カ月で有意差はみられなかった。好中球減少,血小板減少,入院期間,静脈内抗生剤投与期間はいずれもMEL200 群で短く(p<0.001),血小板および赤血球輸血はいずれもMEL200 群で少なかった(p<0.001)。口内炎(grade 3~4)もMEL200 群で有意に少なかった(30% vs 51%,p<0.001)。以上より,MEL 200 mg/m2 が移植前処置として推奨される。

シングル移植とタンデム移植を比較した5 つの臨床試験が報告されているが,全生存期間(OS)でタンデム移植が優れていたのはIFM94 試験のみである。一方,無イベント生存期間(EFS)は4 つの試験でタンデム移植が優れていた。特に,初回移植で最良部分奏効(VGPR)(M 蛋白の減少90%以下)(IFM94 試験)あるいはnear CR に到達しなかった症例(Bologna96 試験)でタンデム移植の有用性が明らかにされた。2 回目の自家移植の時期については3 カ月程度をめどに実施されることが多い。一方,5 つの比較試験のメタアナリシスでは,無イベント生存期間はタンデム移植で優れていた(HR=0.79)が,後に撤回されたチュニジアからの報告を含む6 つの比較試験のメタアナリシスでは,タンデム移植で2 回目の移植における治療関連死亡はHR=1.71 と高くなることが示された。したがって,初回移植後VGPR 非到達例においてはタンデム移植を考慮してよいが,新規薬剤が使用可能となった現在ではタンデム移植の有用性は低下している。

※外国第Ⅲ相臨床試験(MM-003試験)デキサメタゾン併用投与での成績

自家移植を寛解導入療法後早期に実施すべきか,再発時に実施すべきかを無作為で比較検討した試験がフランスから報告されている。本試験ではOS には差はみられないが,早期に実施することで無イベント生存期間(EFS)(39 カ月 vs 13 カ月)およびTWiSTT(Time without symptoms,treatment,and treatment toxicity:無治療かつ副作用なく無症状の期間)(27.8 カ月 vs22.3 カ月)が延長することが示されている。一方,自家移植と通常量化学療法とのランダム化比較試験であるUS S9321 試験において両群間でOS に差はみられなかったが,これは化学療法群でも再発時に多くが自家移植を受けたことによると考えられ,このことは再発時の移植も有用であることを示している。自家移植と通常量化学療法とのランダム化比較試験のメタアナリシスでも同様のことが指摘されている。しかし,早期に移植を受けない場合は長期間化学療法が継続されることになり,その結果,臓器障害や長期のアルキル化剤曝露による二次性骨髄異形成症候群のリスクを高めることになる。したがって,OS に有意差がなくとも早期に自家移植を実施することが推奨される。近年,ボルテゾミブやレナリドミドなどの新規薬剤を用いた寛解導入により奏効割合の大幅な上昇がみられ,自家移植の実施時期についてはup-front で実施する群と新規薬剤による地固め・維持療法を実施し再発時に自家移植を行う群との新たな第Ⅲ相試験が進行中である。

若年者症候性骨髄腫患者に対して寛解導入後早期に自家造血幹細胞移植を行うことは再発時に移植を行うよりも勧められるか

再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした第III相二重盲検比較試験(MM-010試験 ..

染色体に「11:14番転座」がある多発性骨髄腫に対しては、単剤でもよく効くとされています。それ以外に対しても、併用では効果が期待できます。

多発性骨髄腫の治療薬は、近年次々と新薬が登場していますが、進行中の治験がいくつもあり、この状況はまだ続きます。現在、次のような薬の治験が進行中です。

ビンクリスチン、ドキソルビシン及びデキサメタゾン(骨髄腫VAD療法)

移植適応患者で,自家移植後に新規薬剤による地固め療法,維持療法を行うことで,完全奏効(CR)の獲得や,無増悪生存期間(PFS)の延長が期待できる。自家移植後のサリドマイド(THAL)による地固め・維持療法の第Ⅲ相試験が5 つ報告されている。IFM9902 試験では,THAL 群がプラセボ群に対して無イベント生存期間(3 年EFS:52% vs 36%),全生存期間 (4 年OS:87% vs 77%)ともに優れていた。しかし,その効果は最良部分奏効(VGPR)に達していない症例においてのみ認められ,THAL が地固め療法的な役割を果たしていると考えられる。MRC Myeloma IX 試験でも同様の結果であるがOS に差はみられていない。ALLGMM6 試験では12 カ月のTHAL/PSL とPSL 単独との比較で,3 年EFS(42% vs 23%),OS(86% vs 75%)ともにTHAL 群が優れていた。TT2 試験では寛解導入から継続的にTHAL が投与されているが,EFS はTHAL 群が優れ,8 年OS はTHAL 群が優れる傾向がみられた(57% vs 44%)。HOVON 試験でもPFS はTHAL 群が優れる(34 カ月vs 25 カ月)がOS では有意差はみられなかった(73 カ月vs 60 カ月)。いずれの試験でもTHAL の長期投与による副作用として末梢神経障害が中止理由の一つとなっており,NCCN ガイドラインではcategory 1 として推奨しているが,必ずしも広く受け入れられる状況ではない。

65 歳未満の若年者骨髄腫を対象とした自家造血幹細胞移植併用大量化学療法(high-dose chemotherapy with autologous hematopoietic stem cell transplantation:HDC/AHSCT)と通常量化学療法との第Ⅲ相比較試験が多数報告されている。その結果,HDC/AHSCT は完全奏効(CR)割合,無イベント生存期間(EFS),全生存期間(OS)のいずれもHDC/AHSCT が優れていた。しかし,その後報告されたUS Intergroup によるS9321 試験やPETHEMA 試験では,HDC/AHSCT と通常量化学療法でOS や無増悪生存期間(PFS)に必ずしも有意差はみられていない。S9321 試験では,化学療法群がIFM90 試験やMRCVII 試験と比較しより強力であるVBMCP 療法(VCR, BCNU, MEL, CPA, PSL)とシクロフォスファミド大量療法で行われ,一方では,移植群における移植前処置(全身照射を含むレジメン)が弱かった可能性が指摘されている。さらに,化学療法群の52%が再発・増悪時に自家移植を受けており,その結果OS で有意差がみられなかった可能性が考えられる。PETHEMA 試験は初期治療に奏効した症例をランダム化しているという点でIFM90,MRC Ⅶ 試験と異なっている


再発・難治性MMに対するイキサゾミブ+ダラツムマブ+デキサメタゾン〜第II相試験最終分析.

初回治療終了後9~12か月未満に再発や再燃、進行や増悪した場合には、初回治療のキードラッグの効果が期待できないため、初回治療で使用していないキードラッグを含む救援療法が推奨されます。

[PDF] 多発性骨髄腫患者に対する低用量デキサメタゾン併用療法時における

初回治療の最終投与日から9~12か月以上経過してからの再発や再燃した場合は、初回導入療法で使用したプロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブ)や免疫調整薬(レナリドミド)を含む2~3剤を併用する救援療法を行うか、初回治療で使用していない薬に変更します。

再発・再燃骨髄腫患者を対象に,TTPを主要評価項目として当時の標準治療である大量デキサメタゾン ..

図3 多発性骨髄腫治療アルゴリズム 自家造血幹細胞移植適応なし

2022年5月、腰が痛くなり総合病院の血液内科で精密検査を受けたところ、多発性骨髄腫(MM)と診断されました。 ..

自家造血幹細胞移植が適応にならない患者さんには、化学療法が行われます。高齢者が中心となることもあり、ボルテゾミブとレナリドミドの両方を含む併用療法は困難な場合も多いので、「レブラミド+デキサメタゾン療法(Ld療法)」あるいは「メルファラン+プレドニゾロン+ボルテゾミブ療法(MPB療法)」が推奨されています。

重症(Ccr≦30ml/min:透析必要):本 剤 5mgを 1 日1 回投与(透析日は透析後に投与)

自家造血幹細胞移植適応症例における初期治療として,ボルテゾミブ(BOR)やレナリドミド(LEN)などの新規薬剤を用いた寛解導入療法が推奨される。BD 療法(BOR, DEX)やBAD 療法(BOR, DXR, DEX) はVAD 療法(VCR, DXR, DEX) との比較で,BTD 療法(BOR, THAL,DEX) はTD 療法(THAL, DEX) との比較で寛解導入および自家移植後の最良部分奏効(VGPR)以上の奏効割合が有意に優れていた。BTD 療法はTD 療法に比べgrade 3 以上の末梢神経障害(peripheral neuropathy:PN)が有意に多いが,BOR とTHAL の用量を減量したbtD はBD との比較で移植後のVGPR 以上の奏効割合は有意に高く,一方grade 2 以上のPN は有意に少なかった。LEN についてはLD 療法(LEN, DEX)がDEX 大量より有意に優れ,さらにLEN と高用量DEX(LD)とLEN と低用量DEX(Ld)の比較で,4 コース後のPR 以上の奏効割合はLD が有意に優れていたが,1 年OS はLd が有意に優れていた。THAL については,TAD 療法(THAL, DXR, DEX)とVAD 療法との比較で自家移植後のVGPR 以上の奏効割合はTAD 療法が優れていたが,CTD 療法(CPA, THAL, DEX)とCVAD 療法(CPA, VCR, DXR,DEX)の比較では自家移植後のVGPR 以上の奏効割合に有意差はなかった。その他,CBD 療法(CPA, BOR, DEX)やBLD 療法(BOR, LEN, DEX)の報告もみられるが,第Ⅲ相試験の報告はない。以上より,BD,BAD,BT(bt)D,Ld 療法が推奨される。なお,本邦では新規薬剤の初発例に対する保険適用はBOR に限られる。

上記に示している「デキサメタゾン」は副腎皮質ステロイドの飲み薬を指します。 ..

若年者症候性骨髄腫患者に対するタンデム自家/ 同種(ミニ)移植はタンデム自家/ 自家移植と比べて生存期間を延長させるか

デキサメタゾン併用療法、無増悪生存期間、客観的奏効率を有意に改善する ..

図2 多発性骨髄腫治療アルゴリズム 自家造血幹細胞移植適応あり

Wintrobe MM, Wintrobes Clinical Hemtaology: Lee et al

若年者症候性骨髄腫患者における移植を前提とした寛解導入療法では何が勧められるか

患者向け資材 | MM | Hemapedia : 血液内科領域の情報メディアサイト

導入療法として、新規薬剤を含む3剤併用療法が行われます。基本的に65歳未満なので、3剤併用にも十分に耐えられるからです。よく行われているのが、「ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法(BLd療法)」で、これを3~4コース行った後に末梢血中の幹細胞を採取します。

日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版(2024年版)

若年者骨髄腫において,タンデム自家/同種(ミニ)移植とタンデム自家/自家移植を比較した試験が5 つ行われている。このうち,イタリアの試験とEuropean Group for Blood and Marrow Transplantation(EMBT)の試験でタンデム自家/同種(ミニ)移植の有用性が報告されているが,IFM の試験およびもっとも大規模な米国からの報告では両群間で有意差がみられていない。対象や同種移植における前処置が試験により異なるが,タンデム自家/同種(ミニ)移植が無イベント生存期間(EFS),全生存期間(OS)ともに優れていたとするイタリアからの報告では同種移植前処置がTBI 2 Gy となっている。しかし,同様の前処置で行われた米国からの大規模試験の報告では標準リスク,高リスク群いずれにおいてもタンデム自家/自家移植と同等の成績であった。EBMT からの報告では移植前処置はフルダラビン(FLU)+TBI 2 Gy であり,自家移植群はシングルあるいはタンデムであったが,PFS,OS ともにタンデム自家/同種(ミニ)移植が優れていた。一方,PTHEMA 試験では自家移植後near CR に到達しなかった症例をHLA一致同胞の有無でランダム化しているが,同種移植群で高いCR 率とPFS のPFS の延長がみられたもののOS には有意差がなかった。以上より,タンデム自家/同種(ミニ)移植がタンデム自家/自家移植よりOS において優れているとは言えない。

mmを超える巣状病変ありのいずれか1つ以上)を有する場合も(症候性)多発性骨髄 ..

無症候性骨髄腫患者を対象としたゾレドロン酸4 mg の月1 回で1 年間の投与群と無治療群のランダム化第Ⅲ相比較試験(n=163)と,パミドロネート60~90 mg の月1 回で1 年間の投与群と無治療群のランダム化第Ⅲ相比較試験(n=177)が実施されている。1 年間のビスホスホネート製剤の投与は実施可能なレジメンであるが,いずれの試験でも主要評価項目である臓器障害の出現で定義される症候性骨髄腫への進展までの期間(TTP)や全生存期間(OS)には有意差はなかった。症候性骨髄腫へ移行時の貧血,腎障害や髄外腫瘤形成などの発現頻度には両群間での差は認められなかったが,骨関連事象(skeletal-related events:SRE)の発現率はビスホスホネート投与群で有意に減少することが示されている(ゾレドロン酸55.5% vs 78.8%:p=0.041,パミドロネート39.2% vs 72.7%:p=0.009)。現在イタリアグループにより,無症候性骨髄腫患者に対する2 年間のゾレドロン酸投与と無治療群のランダム化比較試験が進行中である。

LEN についてはLEN+大量DEX 併用療法とプラセボ+大量DEX 療法との比較がなされた(MM-009 試験,MM-010 試験)。

自家造血幹細胞移植は、自分の末梢血から造血幹細胞を採取し、大量化学療法で骨髄中の細胞を死滅させた後、採取しておいた造血幹細胞を戻す治療です。移植した細胞は10日ほどで生着し、細胞の増殖が始まります。自分の細胞を戻す治療なので、他の人の幹細胞を移植する同種移植とは異なり、が少なく、免疫抑制剤も必要ありません。

デキサメタゾン併用療法の多施設共同前向き観察研究』に参加された261 ..

未治療多発性骨髄腫の治療は、自家造血幹細胞移植の適応があるかないかによって、大きく2つに分けられます。「65歳未満・重篤な合併症なし・心肺機能正常」が適応の条件です。65歳は一応の目安で、全身状態が良好であれば、それ以上でも移植が行われることはあります。