アセトアミノフェン · クラリスロマイシン · セフジニル · リファンピシン · レボフロキサシン水和物.


:モアイ像で有名なイースター島の土壌から発見されたマクロライド系抗菌薬で免疫抑制薬としてPTCAの時に使われるステントに配合されたり、リンパ脈管筋腫症治療薬として用いられている。オートファジーを阻害するmTORを阻害し、NADの産生を促して寿命を延ばす働きを持つ。mTORを阻害することによる生命延長効果は動物実験ではわかっているもののmTOR阻害薬はもともと免疫抑制薬なので、感染症を発症しやすいし、消化器障害、蛋白尿や腎障害など多くの副作用があるためヒ臨床試験はやっていないようだ。


[PDF] 【金属含有薬剤と相互作用を起こすおそれのある薬剤】

:もともとはインスリン抵抗性を改善させ、安価なので欧米での糖尿病治療薬の第1選択薬。糖尿病治療薬としては①肝における糖新生を抑制し②筋肉・脂肪細胞でのインスリンの働きを良くする(糖取り込み促進)とともに③小腸からブドウ糖が吸収されるのを抑制する。ラパマイシンと同様、メトホルミンを摂取した場合もカロリー制限に似た効果が現われ、ミトコンドリアの働きを活性化し、低下に対処するAMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ: AMP-activated protein kinase)などの遺伝子を活性化することによって細胞内シグナル伝達系を刺激することにより、糖代謝を改善するとともにアンチエイジング効果を持つ。発がんリスク低減作用も注目されている。最近の報告では2型糖尿病患者の膵島ではオートファジー機構の不全があること、メトホルミンの添加がオートファジー機構の不全を改善することが明らかになっている。ただし、ラパマイシンのようにmTORを阻害するのではなく、ミトコンドリアの代謝反応を制限する方向に働く。ミトコンドリアは「細胞の発電所」ともいわれ、ブドウ糖などをエネルギーに変換する仕事をしているが、メトホルミンにはこのプロセスを遅らせる作用がある。すると、AMPKが活性化して細胞内にブドウ糖を取り込むのはメトホルミンの主作用だ()。 AMPKは酵素の一種で、エネルギー量が低下したときにミトコンドリアの機能を回復させる機能をもつ。メトホルミンはSirt1(サートワン)というサーチュインファミリーのタンパクの活性(NADを使ってタンパクの脱アセチル化を進める)も高める。ほかにも、がん細胞の代謝を抑えたり、ミトコンドリアの数を増やしたり(ミトコンドリアの機能低下を補うために細胞がミトコンドリアをより多く生成しようとするため)、折りたたみ不全のタンパク質を除去したりする効果が明らかになっている。

長寿遺伝子のトップ研究者のワシントン大学の今井眞一郎教授が母校の慶応大学で講演した時のこと。学生の「オリジナリティのある研究テーマやビジョンをどうやって探せばいいのですか」という質問に対し、「1日1報、原著論文(アブストラクトではだめ)を全文読んでください。まずは1か月続けてください。1か月するとその分野で何が起こっているかが分かってくる。2か月続けるとばらばらだった知識が結合してくる(知識をブラッシュアップできる)。それを続けて3か月、つまり90報読むと、分野で分かっていて、ここが分かっていないこと、これから何をやるべきかが分かってくる。」と答えていらっしゃり、大いに納得した。
大阪薬科大学の4年間は、高校までまったく自信がなく、女子と話すなんてできないくらいシャイだったいろんな先輩や友人のおかげで、人間的に成長できた素晴らしい4年間だったと思っている。でも悪い先輩たちから薬理と薬品製造と衛生以外は出席しなくてもいいというのを信じ込み、授業には全くついてゆけず、ほぼ最低の成績だった。卒業して研究志向は高いが、当時30床くらいしかなかった小さな透析をやっている個人病院の白鷺病院に入職し、1年後に「尿毒素としての中分子量物質」のテーマに興味を持った。透析で小分子は抜けるが中分子量物質は抜けが悪い。だから中分子量物質が蓄積して尿毒症を悪化させるというものだった。
学生時代はダメ学生だったので、目指した薬理学教室には成績が悪くて入れえず、仕方なく僕がお世話になっていた若い先生のもとで合成をやっていた。ただし申し訳ないことに合成には全く興味なく、合成反応後のクロマトによる結晶の精製に手間取り、先生方や同僚に迷惑ばかりかけていた。卒業発表でも質問に立ち往生しボロボロになりかっこ悪かった。でもこの時にやっていたクロマトグラフィーの技術が役に立ったのだ。透析患者の尿毒症体液成分を用いてSephadex G15を用いたゲルクロマトグラフィーを用いて分析するのだが、卒業して初めてクロマトの原理について1から学んだ。そして分析に取り組み、初の学会発表の機会を得た。分子量物質仮説についてはスウェーデンのBёrgstrom、フランスのManらがそれらの学説をけん引していた。関連する文献は英語論文ばかりで20くらいしかなかったが、医師から鋭い質問が来るかもしれないので、卒業発表のトラウマがあったためとても怖くなった。
この20の文献をメーカーに頼んで取り寄せ、それを毎日1つずつ読もうとした。その当時、一番多くの専門語の載っていたリーダーズ英和辞典を1万円も出して買って、論文に書かれているほとんどの単語の意味が分からないから、論文が鉛筆で書いた日本語訳だらけになった。夜12時になっても訳せなかったが、次の日の仕事があるので、2時か3時までには病院の寮に帰るしかなかった。でもこれは全く苦痛ではなかった。1~2本読んだ時点で僕は白鷺病院で一番、中分子量物質について知っているという喜びを感じることができたから。誰も知らないことを知るって、楽しいじゃない?5本読めば大阪で一番の物知りに、20本読めば知識の上では日本のトップに立てるのだ。誰とディベートしても、たとえ東大の教授に突っ込まれた質問をしても勝てるんだという自信が持てる、だめ薬剤師としては初めてのワクワクドキドキする体験だった。1本の論文を全訳するのに深夜まで病院に残って2~3日かかっていたのが、そのうち1日1本訳せるようになり、辞書を引く回数が減った。20本を訳し終えた時には、1日2本読めるようになり、ほとんど辞書が要らなくなった。これは自分にとって大きな驚きだった。そして学会発表の時にも自信を持てたので、何が来ても、どんなえらい医師が質問しても怖くなかった。学生時代の卒業研究発表会とは違って、ワクワクしながら学会発表できたことを覚えている。

健康成人において、クラリスロマイシン錠剤(250mg)を経口投


一般的に筋トレに有用とされている分子差鎖アミノ酸(BCAA)の中で、特にロイシンは良くない。筋肉がつくのはロイシンがmTORを活性化するからだ。ベジタリアンが長寿である理由も同じ。赤肉に含まれるカルニチンは腸内細菌によって、心血管病変を悪化させる尿毒素トリメチルアミン-N-オキサイドに変換されるになるためよくない。ということで肉は良くない。メチオニンはオートファジーを抑制するmTORを活性化するので、摂取を制限する。
抗酸化サプリはCoQ10,α-リポ酸、ビタミンE、アスタキサンチンなど長寿とは無縁だ。様々なサプリメーカーが長寿を謳っているだけで、論文で証明されているものではない。レスベラトロールは抗酸化サプリとしても発売されているが、sir2酵素を活性化することによって寿命を延ばす作用が証明されている。


Sinclair教授はオーストラリア出身でハーバード大学医学部の老化と寿命延長の生物学に関する医学研究者です。1969年生まれなので私よりも15歳若いのですが、2013年にはシドニーのオペラハウスでTED Talkで講演をされています。とても人を惹きつける講演内容であり、Youtubeで見れます。日本人ではワシントン大学長寿遺伝子の研究をしており、母校の慶應義塾大学での講演でYoutubeでのリーダーシップのあり方、秀逸です(これは日本語)。
この研究成果を見て、高齢者がどんどん増えていったらどうなるんだ、と考える人も多いかと思いますが、健康寿命が高くなれば、若年者が少なく未来の希望の光の見えない日本でも、元気な高齢者が社会を活性化できればいいという考え方もできると思います。
長寿遺伝子の研完成されているとは思いません。でも10年後、20年後、現在行われているヒトでのデータが蓄積すれば、戦前までは結核や肺炎などの感染症が不治の病だったのが、今では抗菌薬で簡単に治癒できるのと同じように、「あの頃の平均寿命は80歳くらいって言われてたけど、今は80歳じゃまだまだ現役で仕事ができるものね(現に平田が子供のころの60歳は腰の曲がった老婆か完全なご隠居さんのイメージだった)」という時代が来るかもしれません。60歳代の現役プロ野球選手、60歳の横綱が生まれ、80歳のマラソンランナーが3時間以内でフルマラソンを完走できるのは、ひょっとしたら将来的にはありかもしれません。ただし超高齢のねたきり末期心不全患者がジョギングできるようになる、透析患者の尿量が増えて透析が不要になる、老眼も白内障も緑内障も完治するようになるには幹細胞移植の助けも必要になるのではないでしょうか。

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薬物相互作用検索ツール | ゾコーバ | 塩野義製薬 医療関係者向け情報


透析で除去されやすい薬は透析後に補充投与しないと効かなくなる。例えばアミノグリコシド系の抗菌薬は細胞外液のみに分布し、アルブミンなどの蛋白質にほとんど結合しないため、透析で半分以上が除去されてしまう。当然、濃度依存性の抗菌作用を示すこの抗菌薬の殺菌力は期待できなくなってしまうであろう。βラクタム系抗菌薬も細胞外液のみに分布するが、蛋白結合率(PBR)は薬によってさまざまだ。汎用されているカルバペネム系抗菌薬のメロペネムのPBRは5%足らずで、アミノグリコシド系と同様なので、半分以上は透析で抜ける。ただし第3世代セフェムのセフトリアキソンやセフォペラゾンのPBRは90%なので、ほぼ除去できないので透析後の追加投与は必要ない。グリコペプチド系のテイコプラニンのPBRは90%と高いだけではなく、分子量が1,564~1,894Da(6種の薬物の混合物である)と大きいため、主に拡散の原理によって生体内物質を除去する血液透析では全く除去できない。
薬物の透析性予測式なんて、必要ないと思っている方もいるかもしれないが、体中から抜けた薬物を抜けた分だけ補充する必要があるとすれば、「抜けやすい」「抜けにくい」だけではなく明確に何%抜けるという精度の高い予測式があれば、それは有用なものになるであろう。たとえば抗がん薬を透析患者に投与された報告は極めて乏しい。投与量も論文によって実にさまざまだ。そして透析による除去について体系的に言及された論文はさらに少ない、というかほとんどない。抗がん薬の場合、効きすぎれば、当然、有害反応が起こるであろうし、効かなければがんの悪化によって生死を分けるかもしれないのに、透析によってどれくらい除去されるかどうかについて分かっているものは、シスプラチンなど特殊な抗がん薬を除いてほとんどないのが現実だ。
米国では麻薬の濫用が大きな問題になっており、オピオイドの透析性についてはかなり探求されている。横紋筋融解症やQT延長といった重篤な副作用の多いメサドンに関しては、PBRが89.4%で分布容積(Vd)が1~8L/kgであることから、動態的に見て透析では抜けないことは明らかである(後述)。透析で抜けないという報告が古くからすでに複数あり、最近の報告ではメサドンの1日投与量の2.3%(範囲、1,25-3,70%)であったという報告3)や古い報告でも1%しか抜けないという報告があるにもかかわらず、メサドン専用の透析性の予測式を作ったという報告もあるが、ほとんど臨床的な価値はないと思う。
個々の薬物の透析性は論文になりやすいのだ。例えばAという新薬の透析性については検討がされていなければ、動態的には除去されないことが分かり切っていたとしても、医師が査読をすると「新規性がある」とみなされ、容易にアクセプトされる。そしてCHDならノイエス、CHDFの報告は初だからノイエス、CHFでもノイエス、CVVHDFでもノイエスとみなされアクセプトされる。もっとひどい文献だと、知りうる限り最大の分布容積の薬物「アミオダロンによる透析性」についての英語論文の査読を依頼されたことがあるが、本来、筆者は教育的な配慮からrejectしない方針であるが、さすがにこれは「透析で全く除去されないことは動態的に明らかなことなのに、数名の透析患者で頻回採血を行って透析性を調べた」ことは倫理的に間違っているということでrejectしたことがある。このように薬物個々の報告、様々な血液浄化法での報告もまた、あまたとあるが、このような報告を待たなくても、あるいは文献を検索しなくても、1つの予測性の高い式ができれば、有用なことは間違いないのだが、これに関する報告は極めて少ないのが現実なのだ。

18.1作用機序
モルモットの摘出左心房標本において、電気的駆動による心収縮力に対するメチルジゴキシン及びジゴキシンの作用を比較した試験で、両薬物の心収縮力最大増加率及びその時の薬物濃度並びに心停止を起こす濃度は同等であった。また、イヌを用い、血圧、心拍数、心電図、左室内圧及び一次微分(dp/dt)を測定した結果、メチルジゴキシンはmax.dp/dtを著明に増加し、軽度の血圧上昇及び心拍数の減少を起こし、これらの作用はジゴキシンとほぼ同程度であった。また、心室性期外収縮及び心停止発現量はメチルジゴキシンとジゴキシンの間に差はみられなかった。

クラリスロマイシン等の強いCYP3A阻害剤との相互作用(併用注意)


1983年にKellerらがPBR, 分布容積の逆数(1/Vd), 分子量を基に薬物の透析性の予測式を作成したが、R2=0.27と低く、臨床では全く使えないものであった。ただしこの報告により薬物の透析性に関わる因子はPBRと分子量以外にも、Vdが重要であることが明らかにされた。
Vdは薬物の組織移行性を表す指標で、前述のようにアミノグリコシド系の抗菌薬やβラクタム系抗菌薬は親水性であるため細胞膜の脂質二重層を通過できないので細胞外液のみに分布する。細胞外液が体重の20%であるためこれらの薬物のVdは0.2~0.3L/kg(重症感染症では炎症によってアルブミンが間質液に漏出するため0.3L/kg近くになる)となるが、PBRが90%のセフォペラゾン、セフトリアキソンはアルブミンにトラップされているため、間質液内濃度は血清濃度の1/10になるので、Vdは0.2L/kg以下になる()。
尿素、炭酸リチウム、エタノールなどは分子量が100Da以下の水溶性物質であるため、脂質二重層の細孔を自由に行き来できるため()、細胞内液・細胞外液に均等に分布する。 そのためこれらのVdは体内水分量に等しい0.6L/kgになり、これらの物質は分子量が小さいため拡散性能が極めて高く、血漿中だけでなく赤血球中からも除去可能である。
では強心配糖体のジゴキシンはどうだろうか?ジゴキシンはNa+-K+-ATPase阻害薬であるためこの酵素が多く存在する心筋や骨格筋に高濃度で分布し、心筋では血清濃度の30~70倍、骨格筋には10~20倍の高濃度で分布するため、血清濃度は相対的に低くなる。Vd=体内薬物量/血清薬物濃度で表されるため、ジゴキシンのVdは4~8L/kgと高い。血清及び間質液、つまり細胞外液を中心に浄化している血液透析だが、ジゴキシンは体内総量の4%しか細胞外液には存在しない()。 また組織から細胞外液へのジゴキシンの移行速度が透析による除去速度に比し極めて遅いため、Vdの大きいジゴキシンは透析では除去不可能だ。PBRが高くても活性炭による血液吸着や血漿交換によって除去可能であるが、Vdが大きい薬物は透析だけでなく、いかなる血液浄化法によっても除去されにくいのである。
ただしVdが小さいと透析で除去されやすいかというと、そうではない。例えば動物実験で血漿量を測定するために用いられるアゾ染料のエバンスブルー(医療用ではない)は血漿中でアルブミンとの親和性が極めて高いためPBRが100%なので、Vdは0.05L/kgとVdの最小の薬物だし、分子量がアルブミンよりもはるかに大きい抗体製剤も0.05L/kgとVdは最小だが、透析で抜けるわけがない。ワルファリンのPBRは99%以上であるため、Vdは0.15L/kgと細胞外液量よりも小さい。NSAIDsのPBRは90%以上のものが多いが、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセンのPBRは99%でVdは0.10~0.17L/kgとワルファリンとよく似ているが、PBR 93.1%のスリンダクのVdは2L/kgと大きい。Vdが小さくてもPBRが90%以上であれば透析によって全く抜けることはない。

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.重大な副作用
11.1.1.ジギタリス中毒(頻度不明):高度徐脈、二段脈、多源性心室性期外収縮、発作性心房性頻拍等の不整脈があらわれることがある。また、さらに重篤な房室ブロック、心室性頻拍症あるいは心室細動に移行することがある。
初期症状として消化器症状、眼症状、精神神経系症状があらわれることが多いが、それらの症状に先行して不整脈が出現することもある〔8.3、9.1.3、9.1.5、9.1.6、9.2.1、9.2.2、9.7小児等、9.8高齢者の項、11.2、13.1、13.2.1-13.2.5参照〕。
11.1.2.非閉塞性腸間膜虚血(頻度不明):腸管壊死に至った例も報告されているので、激しい腹痛、血便等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2.その他の副作用
1).*消化器:(0.1%以上)悪心・嘔吐(0.8%)、食欲不振(0.6%)、下痢、(0.1%未満)下腹部不快感、腹部膨満感、腹痛。
2).循環器:(0.1%以上)不整脈(0.5%)、動悸、(頻度不明)頻脈。
3).*眼:(0.1%未満)霧視、羞明、(頻度不明)光がないのにちらちらみえる、黄視、緑視、複視。
4).*精神神経系:(0.1%以上)頭痛、(0.1%未満)めまい、(頻度不明)失見当識、錯乱、譫妄。
5).肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇。
6).血液:(頻度不明)血小板数減少。
7).過敏症:(0.1%未満)発疹、(頻度不明)蕁麻疹、紫斑、浮腫。
8).その他:(0.1%未満)女性型乳房、(頻度不明)筋力低下。
*)〔11.1.1参照〕。


クラリスロマイシンは,1991年3月に承認されたマクロライド系抗生物質である。 ..

(禁忌)
2.1.房室ブロック、洞房ブロックのある患者[刺激伝導系を抑制し、これらを悪化させることがある]。
2.2.ジギタリス中毒の患者[中毒症状が悪化する]。
2.3.閉塞性心筋疾患(特発性肥大性大動脈弁下狭窄等)のある患者[心筋収縮力を増強し、左室流出路の閉塞を悪化させることがある]。
2.4.本剤の成分又はジギタリス剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
(重要な基本的注意)
8.1.本剤を投与する場合には観察を十分に行い、過去2~3週間以内にジギタリス剤又はその他の強心配糖体が投与されているか否かを確認したのち、慎重に投与量を決定すること。
8.2.本剤の至適投与量は患者により個人差があるので、少量から投与を開始し、観察を十分に行い投与量を調節すること。
8.3.ジギタリス中毒症状(悪心・嘔吐、不整脈等)があらわれることがあるので、消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること〔9.1.3、9.1.5、9.1.6、9.2.1、9.2.2、10.2、11.1.1、13.1参照〕。
8.4.本剤は種々の薬剤との相互作用が報告されているが、可能性のあるすべての組み合わせについて検討されているわけではないので、他剤と併用したり、本剤又は他剤を休薬する場合はメチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度の推移、自覚症状、心電図等に注意し、慎重に投与すること〔10.2参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1.急性心筋梗塞のある患者:心筋収縮力増強により心筋虚血を悪化させるおそれがある。
9.1.2.心室性期外収縮のある患者:中毒が発現した場合、鑑別ができないおそれがある。
9.1.3.心膜炎、肺性心のある患者:少量で中毒を起こすおそれがある〔8.3、11.1.1参照〕。
9.1.4.WPW症候群のある患者:副伝導路の伝導速度を速め、不整脈が悪化するおそれがある。
9.1.5.電解質異常(低カリウム血症、高カルシウム血症、低マグネシウム血症等)のある患者:少量で中毒を起こすおそれがある〔8.3、11.1.1参照〕。
9.1.6.甲状腺機能低下症のある患者:メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が高くなり、作用が増強し、中毒を起こすおそれがある〔8.3、11.1.1参照〕。
9.1.7.甲状腺機能亢進症のある患者:メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が低くなり、作用が減弱し、大量投与を要することがある。
(腎機能障害患者)
9.2.1.腎疾患のある患者:メチルジゴキシン及びジゴキシンの排泄が遅延し、中毒を起こすおそれがある〔8.3、11.1.1参照〕。
9.2.2.血液透析を受けている患者:メチルジゴキシン及びジゴキシンの排泄が遅延し、また、透析により、血清カリウム値が低下する可能性があるため、中毒を起こすおそれがある〔8.3、11.1.1参照〕。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
(小児等)
少量から投与を開始し、血中濃度や心電図等を監視するなど、観察を十分に行い、慎重に投与すること(ジギタリス中毒があらわれやすい)〔11.1.1参照〕。
(高齢者)
少量から投与を開始し、血中濃度等を監視するなど、観察を十分に行い、慎重に投与すること(ジギタリス中毒があらわれやすい)〔11.1.1参照〕。
(相互作用)
メチルジゴキシン及びジゴキシンはP糖蛋白質の基質であるため、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度はP糖蛋白質に影響を及ぼす薬剤により影響を受けると考えられる。
10.2.併用注意:
1).カルシウム(注射剤)(カルシウム値の補正に用いる場合を除く)(グルコン酸カルシウム水和物<注射剤>、塩化カルシウム水和物<注射剤>)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[静注により急激に血中カルシウム濃度が上昇するとジゴキシン毒性が急激に出現することがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと、急激にカルシウム濃度を上昇させるような使用法は避けること(本剤の催不整脈作用は心筋細胞内カルシウム濃度に依存すると考えられている)]。
2).スキサメトニウム塩化物水和物〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[併用により重篤な不整脈を起こすおそれがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(スキサメトニウム塩化物水和物の血中カリウム増加作用又はカテコールアミン放出が原因と考えられている)]。
3).カルシウム<経口剤>、カルシウム含有製剤<カルシウム注射剤を除く>(カルシウム含有高カロリー輸液等)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(これらの薬剤により血中カルシウム値が上昇するためと考えられている)]。
4).解熱・鎮痛・消炎剤(インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(メチルジゴキシン及びジゴキシンの腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
5).トラゾドン塩酸塩〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(機序は不明であるが、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
6).抗コリン剤(アトロピン系薬剤、プロパンテリン等)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(腸管運動を抑制し滞留時間が延長されるため、メチルジゴキシンの吸収が増大し、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
7).不整脈用剤(アミオダロン塩酸塩、キニジン硫酸塩水和物、ピルメノール塩酸塩水和物、フレカイニド酢酸塩、ピルシカイニド塩酸塩水和物、プロパフェノン塩酸塩、ベプリジル塩酸塩水和物等)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(機序不明なものも含まれるが、メチルジゴキシン及びジゴキシンの腎排泄が抑制されることによる血中濃度上昇、あるいは、薬力学的相互作用による刺激伝導抑制等があらわれることがある)]。
8).β-遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、アテノロール、カルベジロール等)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(薬力学的相互作用により、伝導抑制の増強、徐脈の誘発があらわれることがあり、また、カルベジロールではメチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が上昇したとの報告がある)]。
9).利尿剤(カリウム排泄型利尿剤(チアジド系利尿剤、フロセミド等)、アセタゾラミド)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(過度の利尿により、血中カリウム値が低下しやすくなるとの報告がある)]。
10).利尿剤(スピロノラクトン)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(メチルジゴキシン及びジゴキシンの腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
11).利尿剤(トルバプタン)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(P糖蛋白質を介したメチルジゴキシン及びジゴキシンの排泄の抑制により、血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
12).血圧降下剤(レセルピン系薬剤)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(薬力学的相互作用により、伝導抑制の増強、徐脈の誘発があらわれることがある)]。
13).アンジオテンシン2受容体拮抗剤(テルミサルタン)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(機序は不明であるが、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
14).カルシウム拮抗剤(ベラパミル塩酸塩、ジルチアゼム塩酸塩、ニフェジピン等)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(メチルジゴキシン及びジゴキシンの腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
15).HMG-CoA還元酵素阻害剤(フルバスタチンナトリウム)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(機序は不明であるが、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の最高血中濃度の上昇が認められたとの報告がある)]。
16).HMG-CoA還元酵素阻害剤(アトルバスタチンカルシウム水和物)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(P糖蛋白質を介したメチルジゴキシン及びジゴキシンの排泄の抑制により血中濃度の上昇が示唆されている)]。
17).ポリスチレンスルホン酸塩〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(腸内のカリウムイオンとのイオン交換により、血中カリウム値が低下するとの報告がある)]。
18).交感神経刺激剤(アドレナリン、イソプレナリン塩酸塩等)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(薬力学的相互作用により不整脈があらわれることがある)]。
19).プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ラベプラゾールナトリウム等)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(胃酸分泌抑制作用によりメチルジゴキシンの加水分解が抑制され、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
20).副腎皮質ホルモン剤〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(副腎皮質ホルモンにより低カリウム血症が起こるためと考えられている)]。
21).ビタミンD製剤(カルシトリオール等)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(ビタミンD製剤により血中カルシウム値が上昇するためと考えられている)]。
22).習慣性中毒用剤(ジスルフィラム)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(ジスルフィラム-アルコール反応時に過呼吸により血中カリウム値が低下したとの報告がある)]。
23).シクロスポリン〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(メチルジゴキシン及びジゴキシンの腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
24).抗生物質製剤(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ガチフロキサシン水和物、テトラサイクリン塩酸塩)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(腸内細菌叢への影響によるメチルジゴキシンの代謝の抑制、あるいは、P糖蛋白質を介したメチルジゴキシン及びジゴキシンの排泄の抑制により血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
25).抗生物質製剤(アジスロマイシン水和物)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(機序の詳細は不明であるが、P糖蛋白質を介したメチルジゴキシン及びジゴキシンの輸送が阻害されるとの報告がある)]。
26).抗生物質製剤(アムホテリシンB、エンビオマイシン硫酸塩)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(これらの薬物により血中カリウム値が低下するためと考えられている)]。
27).HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(P糖蛋白質を介したメチルジゴキシン及びジゴキシンの排泄の抑制により、血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
28).エトラビリン〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(P糖蛋白質阻害作用により、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
29).C型肝炎治療剤(レジパスビル/ソホスブビル配合錠)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(レジパスビルのP糖蛋白質阻害作用により、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
30).化学療法剤(イトラコナゾール、スルファメトキサゾール・トリメトプリム)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(メチルジゴキシン及びジゴキシンの腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
31).抗甲状腺剤(チアマゾール、プロピルチオウラシル)〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(甲状腺機能亢進の改善に伴いクリアランスが正常になるため、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
32).ベムラフェニブ〔8.3、8.4、13.2.1-13.2.5参照〕[本剤の作用を増強することがあり、ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・不整脈等>があらわれることがある(P糖蛋白質阻害作用により、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が上昇するとの報告がある)]。
33).カルバマゼピン〔8.4参照〕[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合にはメチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること(併用後、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度の低下が認められたとの報告がある)]。
34).コレスチラミン<経口>、コレスチミド<経口>〔8.4参照〕[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合にはメチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること(消化管内での吸着によりメチルジゴキシンの吸収を阻害し、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が低下すると考えられている)]。
35).消化性潰瘍剤(スクラルファート水和物<経口>)〔8.4参照〕[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合にはメチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること(消化管内での吸着によりメチルジゴキシンの吸収を阻害し、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が低下するとの報告がある)]。
36).制酸剤<PPI以外><経口>(水酸化アルミニウム<経口>、水酸化マグネシウム<経口>等)〔8.4参照〕[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合にはメチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること(消化管内での吸着によりメチルジゴキシンの吸収を阻害し、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が低下するとの報告がある)]。
37).抗生物質製剤(フラジオマイシン)〔8.4参照〕[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合にはメチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること(メチルジゴキシンの吸収が阻害され、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が低下するとの報告がある)]。
38).抗生物質製剤(リファンピシン)〔8.4参照〕[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合にはメチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること(P糖蛋白質、肝薬物代謝酵素の誘導作用により、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が低下するとの報告がある)]。
39).サルファ剤(サラゾスルファピリジン)〔8.4参照〕[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合にはメチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること(メチルジゴキシンの吸収が阻害され、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が低下するとの報告がある)]。
40).甲状腺製剤(乾燥甲状腺、レボチロキシンナトリウム水和物、リオチロニンナトリウム)〔8.4参照〕[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合にはメチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること(甲状腺機能低下の改善に伴いクリアランスが正常になるため、メチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度が低下するとの報告がある)]。
41).アカルボース、ミグリトール〔8.4参照〕[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合にはメチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること(併用によりメチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度の低下が認められたとの報告がある)]。
42).セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品〔8.4参照〕[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合にはメチルジゴキシン及びジゴキシン合計の血中濃度をモニターするなど慎重に投与し、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること(メチルジゴキシン及びジゴキシンの排泄が促進され血中濃度が低下するおそれがある)]。
43).ブピバカイン塩酸塩水和物〔8.4参照〕[ブピバカイン塩酸塩水和物の副作用を増強したとの報告がある(薬力学的相互作用によると考えられている)]。
44).ヘパリン〔8.4参照〕[ヘパリンの作用を減弱するおそれがある(抗凝血作用に拮抗すると考えられている)]。
45).制吐作用を有する薬剤(スルピリド、メトクロプラミド、ドンペリドン等)〔8.3、8.4参照〕[ジギタリス中毒の症状<悪心・嘔吐・食欲不振等>を不顕化するおそれがある(これらの薬剤の制吐作用のため本剤の中毒症状が判別しにくくなる)]。
(過量投与)
13.1.症状
過量投与時、ジギタリス中毒が起こることがある〔8.3、11.1.1参照〕。
13.2.処置
13.2.1.薬物排泄:過量投与時、胃内のメチルジゴキシンの吸収を防止するために活性炭が有効と報告されている〔10.2、11.1.1参照〕。
13.2.2.心電図:過量投与時、直ちに心電図による監視を行い、前記のジギタリス中毒特有の不整脈の発現に注意する〔10.2、11.1.1参照〕。
13.2.3.重篤な不整脈の治療法:過量投与時の徐脈性不整脈及び徐脈性ブロックにはアトロピン等が用いられる。過量投与時、重篤な頻脈性不整脈が頻発するときは塩化カリウム、リドカイン、プロプラノロール等が用いられる〔10.2、11.1.1参照〕。
13.2.4.血清電解質:過量投与時、特に低カリウム血症に注意し、異常があれば補正する。
過量投与時の高カリウム血症には、炭酸水素ナトリウム、グルコース・インスリン療法、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が用いられる〔10.2、11.1.1参照〕。
13.2.5.腎機能:過量投与時、メチルジゴキシン及びジゴキシンは主として腎から排泄されるので腎機能を正常に保つ(一般に血液透析は無効であるとされている)〔10.2、11.1.1、16.5参照〕。
(適用上の注意)
14.1.薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
(保管上の注意)
室温保存。

医療用医薬品 : ジゴキシン (ジゴキシン錠0.125mg「AFP」 他)


クレメジンがインドールを吸着して糞便中に排泄することによって、尿毒素のインドキシル硫酸の産生を抑制して腎機能の進行を阻止することはよく知られている()。 ただしこのでトリプトファンからインドールに変換する細菌は近年、大腸菌よりもBacteroides属がメインだといわれている。たんぱく質の摂取は窒素代謝産物の産生を助長し、その中には腎機能を悪化させる尿毒素も産生されている。以前に本HP内で解説したようにインドキシル硫酸だけでなく、p-クレジル硫酸、トリメチルアミン-N-オキサイド(TMAO)の蓄積はいずれも死亡率を上げ、腎機能を悪化させたり、心血管病変を惹起する。そしてこれらすべての尿毒素の産生には腸内細菌が関わっており() 、便秘や肉食、食物繊維不足、肥満などによって尿毒素の産生はさらに助長される。
Mishimaらはアデニン誘発慢性腎不全のマウスに新規下剤のルビプロストン500μg/日を投与し効果を検証した。投与マウスでは腸液の分泌が増加し、腸壁の悪化・善玉菌の減少が改善した。TMAOやインドキシル硫酸などの尿毒素の蓄積も軽減し、BUNの上昇・尿細管間質障害・腎線維化が抑制された。腸内細菌叢の改善に伴ってインドキシル硫酸・馬尿酸・ trans-aconitateの血漿濃度が低下した。これによって腸内細菌叢・腸内環境の改善によって尿毒素の蓄積を抑制することによって腎障害の進行が抑制されたことが明らかになった。
筆者らも腎不全モデルマウスに浸透圧下剤でありプレバイオティクスであるラクツロースを投与するとインドキシル硫酸やp-クレジル硫酸濃度が低下するとともに腎機能悪化が抑制されたことを明らかにした。また腎不全モデルマウスのTGF-βのmRNA発現が低下し、腎線維化が抑制されたことも明らかにした。しかも興味深いことにラクツロース投与群ではインドキシル硫酸産生に関与し、肉類を多く摂取する米国人に多いBacteroides属が減少し、食物繊維分解作用が強く食物繊維を多く摂取する東南アジア人に多いPrevotella属が増加した()。
発展途上国の住民は、米国住民よりも腸内細菌叢の構成が多様で、腸管内に有益な微生物が多く存在するが米国に移住すると腸内細菌叢が変化し肥満や慢性疾患のリスクが高まることが知られている。さらにPrevotella属が多いタイプには認知症患者がいない、Prevotella属が有意に減少すると潰瘍性大腸炎が再燃しやすいなどの報告もある。
便秘が腎機能を悪化させ透析導入を増やすことも明らかにされているが、以前、保存期CKD患者に大黄甘草湯を投与すると腎機能の悪化を抑制できたという報告があったが、これは個人的には下剤によってたんぱく質の吸収を抑える低たんぱく療法の一種だと思っていたが、ひょっとすると便秘を改善することによる腸内細菌叢改善作用だったのかもしれない。単に便秘改善だけではなく腸内細菌叢の改善あるいは多様化が腎機能悪化に関与していると筆者は考えている。21世紀以降、DNAシーケンシング分析とそのメタゲノミクスへの応用の技術的進歩は目覚ましく、複雑な細菌叢を定量化し、それらが人間の健康と病気に与える影響の解明に貢献している。腸内細菌叢の解明によって腸脳連関や腸腎連関に関する報告も増加しつつある。
腎機能正常者1,630人を6年追跡し、CKD発症率と食物繊維摂取量の三分位との関連についてみた報告では、総繊維摂取量の最低三分位と比較して総繊維摂取量最高の被験者のORは0.47(95% CI 0.27、0.86)。さらに、総繊維摂取量が5 g /日増加するごとに、CKDの発症リスクが11%減少したことが報告されており、交絡因子を調節しても結果は変わらず、特に野菜・豆類が良いそうだ。ということで、腎機能を悪化させない決め手は尿毒素を増やさない、低たんぱく食だけでなく、食物繊維やプレバイオティクス、プロバイオティクスの摂取による腸内細菌叢の改善による尿毒素産生低下かもしれない。