FAQ 助産師・看護師による妊婦への服薬指導(山内愛) | 2010年
たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援する代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。 月額110円メルマガ<>を配信中。
と判断される場合にのみ投与すること。 なお,国外における試験で次のような報告
これらのマクロライド系抗菌薬は、日本の使用量が他国より多いことが指摘されています。そして実際、妊娠中にもよく使われています。「マクロライド系が流産のリスクになるなら、ペニシリン系かセフェム系を使えばいいのでは?」と思うかもしれませんが、問題はペニシリンやセフェムがまったく効かない感染症に対処せねばならないケースです。特に、それが多くの妊婦さんが感染する感染症だった場合、どうすればいいのでしょうか。次回、考えてみたいと思います。
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[PDF] 妊娠時の安全性評価・授乳中のカテゴリー Contents
妊娠中は、できるだけ薬を控えるようにします。病気によってはどうしても薬が必要なことがありますが、その時は出来るだけ安全な薬を選んで処方します。
■ はじめに
最終月経の始まった日を0週0日として数えますので、分娩予定日は40週0日になります。妊娠に関しては4週間を1ヶ月として計算するのが特徴です。妊娠週数というのは月経周期が28日型の人を基準にして、最終月経から計算します。最終月経から14日目ごろに排卵をしたと想定していますので、妊娠1週6日目頃までは受精もしていません。予定月経が来ない(最終月経から28日以上経過した) 場合、それまで服用した薬剤による胎児に対する影響はほとんど心配ありません。受精後2週間以内(妊娠4週未満) に、受精卵が薬の影響を受けた場合には、着床しなかったり、流産をして妊娠が成立しません。月経周期が28日型の人で月経初日から33日目ぐらいは一般的な薬(風邪薬・胃薬・頭痛薬・鎮痛剤など)を心配する必要はありません。ただし残留性のある薬剤、たとえば風疹などの生ワクチン・慢性関節リウマチに使用する薬は、この限りではありません。
「妊娠中も使える抗菌薬」の前提が崩れたら | 実践!感染症講義
その研究は、医学誌「Canadian Medical Association Journal」2017年5月1日号(オンライン版)に掲載されました(注)。カナダ・ケベック州在住で1998年から2009年に自然流産した15~45歳の妊婦8702人を対象に調べたところ、マクロライド系抗菌薬のアジスロマイシン(先発品の商品名は「ジスロマック」)を妊娠中に服用した人の流産のリスクは服用していない人の1.65倍、クラリスロマイシン(同じく「クラリス」「クラリシッド」)なら2.35倍にもなる、という結果が出たというのです。
■ 妊娠前
妊娠前に飲んでいた薬が、その後の妊娠や胎児に影響することはまずありません。ほとんどの薬は1〜2日で体から排泄され、体に残ることがないからです。市販されるカゼ薬や鎮痛薬も同様です。ただし、特殊な例として、角化症治療薬の「エトレチナート(チガソン)」、抗ウィルス薬の「リバビリン(レベトール)」、抗リウマチ薬の「レフルノミド(アラバ)」などは、薬の影響がかなり長く残ります。これらについては、医師からの指導が必要です。
妊娠と薬情報センター · 妊娠と薬について知りたい方へ · 授乳と薬について知り ..
※ 妊娠初期に風疹にかかると、赤ちゃんの心臓などに異常を起こすおそれがあります(先天性風疹症候群)。そのため、出産適齢期になる前にワクチンの予防接種を受けておくことが推奨されています。もし、大人になってから受ける場合は、あらかじめ約1カ月間避妊したあとに接種し、その後約2カ月間は妊娠しないようにして下さい。
とは言っても、重症化している(しそうな)場合は抗菌薬を用いなければなりません。そんなときは「妊娠中でも使える抗菌薬」を選択することになります。それはペニシリン系、セフェム系、マクロライド系の3種の抗菌薬です。クラビットという商品名で有名なニューキノロン系や、商品名・ミノマイシンなどのテトラサイクリン系は、生まれてくる赤ちゃんに奇形のリスクが生じることなどから原則妊娠中の使用は「禁忌」です。他の種類のものも「禁忌」もしくは「禁忌に近い」と考えなければなりません。しかし、このような説明を聞くと「なーんだ。妊娠していても使える抗菌薬が3種類もあるなら、そんなに心配しなくてもいいんじゃないの」と思った人もいるでしょう。ですが、この「妊娠中も使える」という前提が崩れたとすればどうでしょう。実は、最近、そのような内容の研究が報告されたのです。
クラリスロマイシンDSをやくちちが味見してみた · イノラス配合経腸用液をやくちち ..
■ 妊娠初期(妊娠2ヶ月〜4ヶ月)
奇形という意味で最も薬の影響を受けやすいのは、妊娠初期です。この時期には、赤ちゃんの大事な臓器が作られるからです。とくに2ヵ月目が重要です。一部の薬の服用により奇形の発現率が高まる恐れがあります。この時期に奇形を作る可能性の高い薬としては、チガソンなどビタミンA誘導体(レチノイド)、抗がん剤、特殊なホルモン系の薬、放射性医薬品など一部の医療用の薬です。もちろん、市販はされていません。また薬は飲まないに越したことはありませんが、風邪・頭痛・便秘症など辛い症状で薬を飲む場合には、必ず医師に相談して安全性の高い薬を内服して下さい。
製剤、クラリスロマイシン、テラプレビル、コビシスタット含有製剤、エンシトレルビ ..
妊娠中の抗菌薬使用については、どのように考えればいいのでしょうか。もちろん、最も大切なのは「(細菌)感染症に罹患(りかん)しない」ということです。妊娠中に高熱が出るようなことがあれば、胎児に影響が及ぶ可能性もあります。ですから、細菌感染に限らず感染症全般への十分な対策が必要です。まずうがい、手洗いは確実に行うべきです。私は「奥さん(や娘さん)が妊娠している(かもしれない)」という患者さんを診察した時、場合によっては「今日は家に帰らずに実家やホテルに泊まった方がいいのでは?」と助言することもあります。
[PDF] 第1種指定化学物質(新規追加候補に対する有害性根拠)
妊娠中の薬物使用の胎児への影響は,大きく分けて催奇形性と胎児毒性があります(図)。催奇形性は妊娠4-15週ごろ,特に重要な臓器が発生する器官形成期である4-7週においてハイリスクであり,最も過敏な時期であると言われています。8-15週は過敏性は低下するものの,まだ注意が必要です。妊娠16週以降は,催奇形性の心配はなくなりますが,胎児毒性について注意しましょう。催奇形性が心配される以前の妊娠3週までは,「All or None」の時期と言われ,この時期に胎児に影響を及ぼす可能性のある薬を使用した場合,「受精卵として着床しない,もしくは流産」という結果か,「妊娠の継続」かのどちらかになります。そして,妊娠継続した場合は奇形等の影響は残らないと言われています。
しかし、妊娠マウスの妊娠1-17日にAPFOを強制経口投与した発生毒性試験では、母 ..
自然流産率は15%,胎児奇形の自然発生率は約3%であるのに対し,薬剤が奇形発生の原因となるのは全奇形のうちの1-2%であり,非常に少ない確率となっています。とは言っても,一部の薬剤には催奇形性がわかっているものや,催奇形性が問題となる器官形成期を過ぎての暴露によって,胎児の発達や機能に障害を引き起こす胎児毒性が問題となる薬剤もあり注意が必要となります。一方,妊娠以前から慢性疾患などで薬を服用している場合,妊娠を機に安易に休薬することは,疾患そのものの悪化などのリスクが発生します。したがって,臨床では有益性が危険性を上回ると判断されれば,薬の使用は継続されます。
Pseudokirchneriella subcapitata
Answer…「妊娠したら薬を全く使用できないということはありません。あなたの週数で薬を使用しても胎児の奇形発生の心配はないと考えられています。しかし,お腹の赤ちゃんへの影響が全くないというわけではありませんので,安易に市販薬を使用することは控えたほうが良いでしょう。薬については必ず主治医に確認するようにしましょう」
(7)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人、産婦、授乳婦(「妊婦、産婦 ..
では,本ケースの妊婦が心配している風邪薬について考えてみましょう。風邪症状は,咽頭痛,咳そう,鼻汁,頭痛などさまざまですが,ほとんどがウイルス感染で起こります。したがって,本来,抗菌薬は必須ではありませんが,ウイルスの先行感染で細菌感染症が続発する場合があることから予防的に処方されることもまれではありません。妊娠期に使用する抗菌薬の第一選択としてはセフェム系(セファクロル:ケフラール®),ペニシリン系(アモキシシリン:サワシリン®),マクロライド系(クラリスロマイシン:クラリス®)があります。解熱鎮痛薬としてはアセトアミノフェン(カロナール®など)が第一選択で用いられます。これらは妊婦に投与しても胎児への影響がなく,安全に使用できると言われています。解熱目的によく用いられるジクロフェナクナトリウム(ボルタレン®)は非ステロイド系消炎鎮痛薬であり,胎児の静脈管早期閉鎖や,尿量産生抑制から来る羊水過少などの報告があり妊娠中の使用は制限されています。したがって,解熱鎮痛のために常備薬としてボルタレンを持っている場合には使用しないよう指導することが必要です。また,風邪の予防にはうがいが有用ですが,ヨードを含むうがい薬を頻繁に使用することは母体の甲状腺機能に影響を及ぼすこともあると言われているため注意が必要です。
初期3週間治療後は、ワルファリンから本剤への切り替え時に抗凝固作
ですから、感染予防のことだけを考えるなら「妊娠すれば上の子と隔離」が最善となるのですが、これは非現実的です。ですが、子供から感染するリスクが高いことは知っておかねばなりません。その知識があると、妊娠前に、お母さんは少なくとも麻疹(はしか)、風疹、水痘(水ぼうそう)、おたふく風邪の抗体があるかどうかを調べなければならない、そして抗体価が低ければワクチンを接種しなければならない、ということがおのずから理解できます。「」シリーズで紹介してきたように、現在の日本では妊婦さんが風疹にかかると赤ちゃんに先天性障害が起きる可能性があることは周知されていますが、妊娠中に麻疹、水痘、おたくふく風邪に感染、罹患したときのリスクは、軽視されているように私には思えてなりません。
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性に対しては、投与中及び投与終了後一定期間は ..
前医が処方したものを私が撤回するわけにはいきませんし、今のところ妊婦さんにあきらかな不適切処方が行われたと思われるケースには遭遇していませんから、そのような相談には「前医の指示に従ってください」と答えています。「」の回で紹介したように、「毎回風邪にクラビット」という安易に抗菌薬を処方する医師がいるのも事実なのですが、妊婦さんが相手の場合はそのような医師も慎重になるのかもしれません。
A. 「クラリス」はエリスロマイシン系の抗生物質で、セフェム系と同様に赤ちゃんへの影響は心配ない薬です。
まず、大前提としてウイルス感染の可能性を排除すべきです。太融寺町谷口医院の例でいえば、季節にもよりますが、風邪症状で受診する人の8~9割はウイルス感染です。また、細菌感染であったとしても必ず抗菌薬が必要というわけではありません。グラム染色での炎症所見が軽度で、全身状態が良好であれば抗菌薬を処方しないケースがあります。食中毒の場合も、たとえカンピロバクターなどの細菌が検出されても軽症であれば抗菌薬は不要です。けが(外傷)の場合は、初期にしっかりと洗浄(水道水でOK)していれば抗菌薬を使わなくて済むことが多々あります。
妊娠初期に胎内でチアマゾールに暴露された3奇形を
妊娠第1期のマクロライド系抗菌薬の処方は、ペニシリン系抗菌薬に比べ、子供の主要な先天形成異常や心血管の先天異常のリスクが高く、全妊娠期間の処方では生殖器の先天異常のリスクが増加することが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのHeng Fan氏らの調査で示された。妊娠中のマクロライド系抗菌薬処方に関する最近の系統的レビューでは、流産のリスク増加には一貫したエビデンスがあるが、先天異常や脳性麻痺、てんかんのリスク増加には一貫性のあるエビデンスは少ないと報告されている。また、妊娠中のマクロライド系抗菌薬の使用に関する施策上の勧告は、国によってかなり異なるという。BMJ誌2020年2月19日号掲載の報告。
研究グループは、妊娠中のマクロライド系抗菌薬の処方と、子供の主要な先天異常や神経発達症との関連を評価する目的で、地域住民ベースのコホート研究を行った(筆頭著者は英国Child Health Research CIOなどの助成を受けた)。
解析には、UK Clinical Practice Research Datalinkのデータを使用した。対象には、母親が妊娠4週から分娩までの期間に、単剤の抗菌薬治療としてマクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)またはペニシリン系抗菌薬の投与を受けた、1990~2016年に出生した10万4,605人の子供が含まれた。
2つの陰性対照コホートとして、母親が妊娠前にマクロライド系抗菌薬またはペニシリンを処方された子供8万2,314人と、研究コホートの子供の同胞5万3,735人が解析に含まれた。妊娠第1期(4~13週)、妊娠第2~3期(14週~分娩)、全妊娠期間に処方を受けた妊婦に分けて解析した。
主要アウトカムとして、欧州先天異常監視機構(EUROCAT)の定義によるすべての主要な先天異常および身体の部位別の主要な先天異常(神経、心血管、消化器、生殖器、尿路)のリスクを評価した。さらに、神経発達症として、脳性麻痺、てんかん、注意欠陥多動性障害、自閉性スペクトラム障害のリスクも検討した。
主要な先天異常は、母親が妊娠中にマクロライド系抗菌薬を処方された子供では、8,632人中186人(1,000人当たり21.55人)、母親がペニシリン系抗菌薬を処方された子供では、9万5,973人中1,666例(1,000人当たり17.36人)で発生した。
妊娠第1期のマクロライド系抗菌薬の処方はペニシリン系抗菌薬に比べ、主要な先天異常のリスクが高く(1,000人当たり27.65人vs.17.65人、補正後リスク比[RR]:1.55、95%信頼区間[CI]:1.19~2.03)、心血管の先天異常(同10.60人vs.6.61人、1.62、1.05~2.51)のリスクも上昇した。
全妊娠期間にマクロライド系抗菌薬が処方された場合は、生殖器の先天異常のリスクが増加した(1,000人当たり4.75人vs.3.07人、補正後RR:1.58、95%CI:1.14~2.19、主に尿道下裂)。また、妊娠第1期のエリスロマイシンは、主要な先天異常のリスクが高かった(同27.39 vs.17.65、1.50、1.13~1.99)。
他の部位別の先天異常や神経発達症には、マクロライド系抗菌薬の処方は統計学的に有意な関連は認められなかった。また、これらの知見は、感度分析の頑健性が高かった。
著者は、「マクロライド系抗菌薬は、妊娠中は注意して使用し、研究が進むまでは、使用可能な他の抗菌薬がある場合は、それを処方すべきだろう」としている。
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■ 中期(妊娠5ヶ月〜7ヶ月)
妊娠中期は、比較的安全な時期です。赤ちゃんの体や臓器の基本的な形はできあがっているので、奇形自体の心配はもうありません。しかし、この頃から体の成長や機能に悪い影響を及ぼす薬があります。たとえば、高血圧治療薬のACE阻害薬やARBがその代表です。この系統の薬は、胎児の腎臓の働きを悪くし、尿量を減らします。その結果として羊水が減少し重大な障害を残す恐れがありますので、妊娠中の服用は禁忌となります。そのほか、中期以降にテトラサイクリン系抗生物質を長期服用すると、赤ちゃんの歯が黄色くなってしまうことがあります。妊娠中の感染症には、より安全性の高い抗生物質を使いますので、主治医と相談の上で内服して下さい。