遅延性悪心・嘔吐に対する効果の比較検討を行った. 急性悪心・嘔吐及び days 5, 1―10 の嘔吐の抑制
ランダム化比較試験は行われておらず,一般的には軽度リスク・最小度リスク抗がん薬に対して制吐薬は推奨されない(参照)。
デキサメタゾン(オルガドロン注®、デカドロン錠®) 機序は不明 ..
以上より,個々の抗がん薬としては中等度リスクに分類されるが遅発性悪心・嘔吐が問題になるなど催吐性リスクの高いレジメンを使用する際には,NK1受容体拮抗薬を用いることを考慮する。
女性は男性に比べ催吐リスクが高いことが知られている(→参照)。本邦の呼吸器領域と婦人科領域における制吐療法の第II相試験の報告では,同じカルボプラチンを用いても,アプレピタントを含む3剤制吐療法を用いた場合,全期間嘔吐完全制御割合は,呼吸器領域では8割程度であるのに対し,婦人科領域では6割程度であった。また,婦人科領域の悪性腫瘍でカルボプラチンを用いる際に,第1世代5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンのみを用いた群に比べ,これらにアプレピタントを加えた群では,「“食事や水分も摂れない強い悪心”がない」と「5日間嘔吐なし」の割合がそれぞれ有意に高かった。ただし,副次評価項目として制吐効果をみた研究であり,2,3 日目にはデキサメタゾンが用いられていないという制限がある。
注)アプレピタントを使用しない場合は、1日目のデキサメタゾン注射薬
アプレピタントとデキサメタゾンの併用もしくはアプレピタント単独投与の遅発性嘔吐に対する有用性もNCCN ガイドライン2017 や,レビューで示されている。個々の臨床試験では,中等度リスクに対するアプレピタントを含む3 剤の効果をみたランダム化比較試験がある。現在は高度リスクに分類されるAC 療法が約半数含まれている試験であるが,AC 療法以外の中等度リスクにおいても一次評価項目である「5 日間嘔吐なし」の割合が有意にアプレピタント群で高かった。ただし,これはサブグループ解析である点に注意が必要である。わが国でも,二重盲検ではないことに留意する必要があるが,オキサリプラチンベースの抗がん薬を用いる大腸がん症例において,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの併用療法にアプレピタント/ホスアプレピタントの上乗せ効果を,全期間および遅発期における嘔吐制御割合で証明した第III相ランダム化比較試験(SENRI 試験)の報告がある。さらに,AC 療法を除外した中等度リスク対して第1 世代5-HT3受容体拮抗薬(オンダンセトロン,1~3 日目),デキサメタゾン(1日目のみ)の2 剤併用群に対してホスアプレピタント併用の効果を見たランダム化比較試験がある。7 割以上の患者においてカルボプラチン,オキサリプラチンを含むレジメンが使用されていた。ここでは対照群のオンダンセトロン(1~3 日目),デキサメタゾン(1日目のみ)の2 剤併用群に比べて,主要評価項目である完全嘔吐制御割合が3剤併用群で有意に高かった(77.1% vs. 66.9%)。
5-HT3受容体拮抗薬もしくはデキサメタゾンとの併用は,各単独療法と効果に差はなく,費用対効果において5-HT3受容体拮抗薬の有用性は疑わしいとされている(パロノセトロンはこの検討に含まれていない)。しかし,肝炎などでデキサメタゾンが使用できない場合は,5-HT3受容体拮抗薬を用いることもある。さらに遅発性嘔吐におけるパロノセトロン単独投与の有用性をdolasetron との比較で明らかにした第III相ランダム化比較試験の結果もあり,遅発性嘔吐に対するパロノセトロン単独使用は,現時点ではオプションの一つと考えられる(なお,ここでいう単独療法とは遅発性嘔吐に対するものであり,急性嘔吐に対する薬物療法に関しては を参照されたい)。5-HT3受容体拮抗薬と副腎皮質ステロイドは制吐効果,QOL 改善効果において同等であると報告した第III相ランダム化比較試験もある。MASCC/ESMO ガイドライン2016,ASCO ガイドライン2017 では,中等度リスク抗がん薬による遅発性嘔吐に対して,前述したパロノセトロンとデキサメタゾンの併用療法が推奨されている(参照)。
21-P2-256 癌化学療法誘発性の急性悪心・嘔吐に対する ..
【参照】 2015ASCO 総会で報告された乳がんに対するアントラサイクリン系抗がん薬とシクロホスファミドを含むレジメンに対するデキサメタゾン/ホスアプレピタント併用下でのグラニセトロンとパロノセトロンの比較を行ったわが国の第III相ランダム化比較試験(WJOG6811B 試験)では,主要評価項目である遅発性悪心・嘔吐の完全制御割合において両群間に有意差は認められなかったが,二次評価項目ではパロノセトロン群が遅発期において有意に悪心を抑制した。
CHOP 療法も高度催吐性リスクに分類されている。しかし実臨床では制吐薬として2 剤併用が行われる傾向にある。これは高用量のプレドニゾロンを5 日間投与するため遅発性の悪心嘔吐が低いと考えられているためであり,実際に我が国で行われたCINV 観察研究では,79%で2 剤併用が行われていた。CHOP 療法に対するNK1 受容体拮抗薬の有効性については,1 コース目は2 剤併用を行い,2 コース目からNK1 受容体拮抗薬を上乗せする試験が報告されている。また第2 世代の5-HT3受容体拮抗薬の有効性について検討したいくつかの前向き試験が本邦より報告されている 。2 剤併用,3 剤併用のどちらが良いかについてのランダム化比較試験は,第II相試験での報告しかなく,今後の検討が必要である。
[PDF] 2016年04月 『抗癌剤の催吐性リスク分類と制吐療法について』
アントラサイクリン+シクロホスファミド併用(AC)療法においてアプレピタントを使用しない臨床試験のエビデンスから,2 日目以降のデキサメタゾンの上乗せ効果は証明されていない。さらにステロイドの副作用を減ずる目的で,AC 療法に対する2~3 日目のステロイド使用を行わないsteroid sparing という投与法は,ステロイド通常使用に対する非劣性が海外の第III相ランダム化比較試験で示されている。本邦でも,アプレピタント(またはホスアプレピタント)を併用した第III相試験において,AC療法を含む高度リスク抗がん薬に対するsteroid sparing が可能であることが示された14)。ただし使用された5-HT3受容体拮抗薬はパロノセトロンのみであることに留意する必要はある。したがって,AC 療法においては,steroid sparing は選択肢の一つとなる(→ 参照)。
第1 世代の各5-HT3受容体拮抗薬の制吐効果に差はないとされているが,わが国で行われた高度リスクの抗がん薬投与に対する,第2 世代の5-HT3受容体拮抗薬パロノセトロンとデキサメタゾンの併用群とグラニセトロンとデキサメタゾンの併用群の制吐効果を検討した第III相ランダム化比較試験において,パロノセトロンとデキサメタゾンの併用群が有意に遅発性嘔吐を抑制したことが示されている(参照)。また,高度リスクの抗がん薬投与に対するパロノセトロン,デキサメタゾン,アプレピタント併用群と,グラニセトロン,デキサメタゾン,アプレピタント併用群の制吐効果の比較を行った第III相ランダム化比較試験(TRIPLE 試験)が報告され,主要評価項目ではないがパロノセトロン群が遅発期において有意に悪心・嘔吐を抑制したことが示された。
化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)の予防に用いられるデキサメタゾンについて、投与日短縮法の制吐 ..
ASCO ガイドライン2017 によれば,遅発性嘔吐は,程度としては軽度なものが多いが,急性嘔吐の対処が不十分なときに起こりやすいとされる。治療としては副腎皮質ステロイド(経口デキサメタゾン)が推奨されており,メトクロプラミドや5-HT3受容体拮抗薬とも併用される。しかし,デキサメタゾンに加え5-HT3受容体拮抗薬を併用しても制吐効果の増強は得られない。さらに,急性嘔吐を認めた場合にはこれら2 剤を併用しても効果は不十分であるとされているため,抗がん薬の催吐性リスクや患者の状態に応じていずれか一方の使用にとどめるべきと思われる。
遅発性の悪心・嘔吐:投与後24時間~120時間程度持続する悪心・嘔吐
遅発性嘔吐は,抗がん薬投与後24 時間以降に発現するもの,と定義されており,そのコントロールは,患者のQOL 維持,さらに精神的安定や治療に対する意欲の向上のためにも必要不可欠である。薬剤の催吐性リスクを適正に評価し,エビデンスに基づいた制吐薬の適切な使用を検討する必要がある。
デキサメタゾンの追加投与により嘔吐の制御能を改善するものの、ステロイドの補助 ..
小児を対象とした適切なランダム化試験として特定できたのはわずか34件であり、その中では、26通りの薬剤の使用法が検討された。一般的に悪心は嘔吐より不快感の強い症状であるが、臨床試験は悪心よりも嘔吐を報告する傾向があった。 最適な薬剤、最も有効な用量、経口(飲み薬)と経静脈(注射)のどちらがより適した投与方法か、という点について確固たる結論は得られなかった。5‐HT3受容体拮抗薬(オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロンといった『トロン系』)が既存の薬剤より有効であり、またデキサメタゾンを追加することでさらに効果は上がると考えられる。 今後の研究では、患者やその家族が重要と捉える問題を考慮し、悪心嘔吐を評価する確立した手法を用いるべきであり、また、使える情報を最大限に利用するためにレビューを行う上で、さらに新しい方法を試みるべきである。
項目として、デキサメタゾンの用量別の急性期および遅発期の CR 率(「嘔吐、救済治療
化学療法を受ける小児と若年者に対して悪心嘔吐の予防薬はどの程度有効か。
表3 造血器腫瘍に使用する抗がん剤の催吐性リスク分類と予防. 米国癌治療学会(ASCO). 注射用薬. 経口薬. 急性の悪心・嘔吐の予防.
小児および若年者のがん治療に対する抗がん剤の使用は悪心(吐きそうな気分)と嘔吐を誘発することがある。こうしたきわめて不快な感覚は、より効果的な制吐剤(吐き気止め)の存在にもかかわらず依然として問題となっている。
高度リスクの抗がん薬による急性の悪心・嘔吐に対しては、アプレピタント(もしくはホ
小児期における化学療法誘発性の悪心嘔吐を予防する最も有効な制吐剤の使用法に関する我々の全体的な知見は完全なものではなかった。今後は、化学療法を受けた小児、若年者、および患者家族の意見を聞いて研究を行うべきであり、また有効性が確立し年齢に応じて適切な評価方法を使用するべきである。本レビューより、5‐HT3受容体拮抗薬は催吐作用のある抗がん剤を受ける患者に有効であると考えられ、またグラニセトロンやパロノセトロンはオンダンセトロンより効果が高いのではないかと考えられる。デキサメタゾンの追加投与により嘔吐の制御能を改善するものの、ステロイドの補助投与に関するリスク・ベネフィットのバランスは依然として不明確である。
悪心・嘔吐は、その発現時期や状態より、「急性期悪心・嘔吐」(抗がん薬 ..
記述的統合によると5‐HT3受容体拮抗薬は既存の制吐剤よりも、また既存薬とステロイドの併用よりも有効であったと考えられる。カンナビノイドはおそらく有効であると思われるが副作用の頻度は高い。
デキサメタゾンの3剤併用療法だ。 オランザピン5mgを併用すると嘔吐・吐き気が抑えられ夜も熟睡できる
2件は嘔吐の完全制御に関して、5‐HT3受容体拮抗薬へのデキサメタゾンの追加投与の評価を行った(統合リスク比(RR)2.03; 95%信頼区間(CI)1.35~3.04)。 3件は嘔吐の完全制御に対するグラニセトロン20mcg/kgと40mcg/kgの比較を行った(統合RR 0.93; 95%CI 0.80~1.07)。 3件はグラニセトロンとオンダンセトロンによる急性悪心(統合RR 1.05; 95%CI 0.94~1.17; 2件)、急性嘔吐(統合RR 2.26; 95% CI 2.04~2.51; 3件)、遅発性悪心(統合RR 1.13; 95% CI 0.93~1.38; 2件)、遅発性嘔吐(統合RR 1.13; 95%CI 0.98~1.29; 2件)の完全制御について比較した。 それ以外の研究の統合解析は行えなかった。
急性悪心、嘔吐の治療では、開始から 24 時間に 1 日用量である 3 mg
量的データの多くは急性嘔吐(27件)の完全制御に関するものであった。有害事象は29件で報告され、16件で悪心がアウトカムとして報告された。
ロイドであるデキサメタゾンのシスプラチン誘発性の急性および遅延性の嘔吐
我々は、さまざまな制吐剤、異なる用量および対照薬との比較、そしてさまざまな結果を報告した34件の研究を組み入れた。組み入れられた研究の質と量の都合で、異質性の検証は記述アプローチのみに限定された
[PDF] 5-HT3受容体拮抗型制吐剤 パロノセトロン塩酸塩注射剤 劇薬
化学療法を受ける小児および若年(18歳未満)のがん患者を対象とした制吐剤、カンナビノイド、ベンゾジアゼピンとプラセボや他の現行の治療介入とを比較するランダム化比較試験(RCTs)の文献を特定するため、レビューの著者2名が個別に抄録を調べ選別した。
現れる急性の吐き気・嘔吐と投与24時間後に現れる遅発性の吐 ..
化学療法を受けている、または受ける予定の小児および若年(18歳未満)の予期性、急性、および遅発性の悪心嘔吐の抑制に対する薬学的介入の有効性および有害事象を評価すること。
受容体拮抗薬+デキサメタゾン+アプレピタント、遅発性悪心・嘔吐予防にデ.
新たな制吐剤の登場にもかかわらず、悪心嘔吐はがん治療を受ける小児にとって依然として残る問題である。最適な制吐剤の投与計画を実施することで、悪心、嘔吐、およびそれに付随する臨床的問題を減らし生活の質(QOL)を改善することが可能になると思われる。本稿はシステマティックレビュー初版の更新である。