マシテンタン(エンドセリン受容体拮抗薬)<フィルムコーティング錠


ユバンシ®は、成人の肺動脈性肺高血圧症の治療薬として、エンドセリン受容体拮抗薬であるマシテンタン10mgとホスホジエステラーゼ5阻害薬であるタダラフィル40mgを配合した、1日1回経口投与の薬剤です。


マシテンタンとタダラフィルの配合剤を申請 ヤンセン、PAHの適応で

PAHは、肺の細い動脈(肺小動脈)の内側の空間(内腔)が狭くなり、心臓から肺に送られる血液が流れにくくなることにより、肺動脈圧が高くなる病気です。PAHは患者さんの数が極めて少ない希少疾患であり、国から難病に指定されています。日本では、同疾患の指定難病受給者証を持つ患者さん(2022年度)が4,529人いると報告4され、近年増加傾向にあります。新規にPAHと診断された患者さん(2015~2018年度)では、60代までは女性の割合が多く、70代、80代では男女がほぼ同数になっています。肺小動脈の内腔が狭くなる原因は十分に解明されていませんが、免疫の異常や遺伝的な要因、その他何らかの環境因子が関与していることがわかっています。

A DUE試験は、肺動脈性肺高血圧症患者さんを対象に、マシテンタンとタダラフィルの配合剤であるユバンシ®の有効性及び安全性をマシテンタン及びタダラフィルの各単剤療法と比較する二重盲検、無作為化、実薬対照、多施設共同、アダプティブ並行群間試験2です。本試験には、世界16ヵ国の76施設から、未治療又は一定用量のエンドセリン受容体拮抗薬もしくはホスホジエステラーゼ5阻害薬を3ヵ月以上投与されているWHO FC II又はIIIの肺動脈性肺高血圧症患者さんが登録されました。主要評価項目は、投与開始後16週に測定した肺血管抵抗(PVR)であり、ベースライン値に対する変化の幾何平均値の比として評価し、マシテンタンとタダラフィル投与群が、マシテンタン、タダラフィルの各単剤群より優れている場合は達成と見なされました。試験期間終了後、患者さんは24ヵ月の非盲検試験に移行されました。

マシテンタン、タダラフィル | 処方薬 | 1 | お薬検索 | HelC(ヘルシー)

なお、ユバンシ®の医療従事者への情報提供活動については、日本新薬株式会社(本社:京都市南区、代表取締役社長:中井亨)と共同で実施します。

マシテンタンは患者さんの死亡や入院のリスクや発生率、入院日数を減少させることが示されており5、タダラフィルは運動耐容能の向上6が認められています。

肺動脈性肺高血圧症に初の1日1回型配合薬 | Medical Tribune

今回の承認により、J&Jは、ESC及びERSによる肺高血圧症治療ガイドライン2022で推奨されている肺血管拡張薬のうち、一酸化窒素経路とエンドセリン経路、プロスタサイクリン経路に属する全ての治療薬を提供することになります1

J&J Innovative Medicine Japanの代表取締役社長である關口修平は次のように述べています。「今回の承認は、肺動脈性肺高血圧症の領域で、患者さんの治療や生活の改善を目指し取り組んできた私たちの実績に基づくものです。肺動脈性肺高血圧症の患者さんは、毎日複数の治療薬を服用することが多く、その服薬負担が課題となっています。この度ユバンシ®が承認されたことで、疾患管理を最適化するとともに、また、服薬アドヒアランスの向上、服薬時の負担軽減にも貢献できると期待しています」

「マシテンタン・タダラフィル錠」の薬価比較一覧です。先発薬・後発薬、メーカー・剤形による違いを見比べて薬価差を把握することができます.

今回の承認は、国際共同第III相ピボタル試験(A DUE試験)の結果に基づくものです。本試験では、主要評価項目である投与開始16週後の肺血管抵抗(PVR)の変化比をユバンシ®投与群とマシテンタン、タダラフィルの各単剤群とを比較し、その結果ユバンシ®投与群において改善が示されました2。またユバンシ®の安全性プロファイルは、マシテンタン及びタダラフィルの安全性プロファイルと一貫していました。

欧州心臓病学会(ESC)及び欧州呼吸器学会(ERS)による肺高血圧症治療ガイドライン2022では、PAH患者さんに対して、エンドセリン受容体拮抗薬とホスホジエステラーゼ5阻害薬の併用療法が推奨されています1


効能・効果肺動脈性肺高血圧症用法・用量通常、成人には1日1回タダラフィルとして40mgを経口投与する。

第III相ピボタルA DUE試験2において、主要評価項目である肺血行動態の有意な改善が示された

[PDF] エンドセリン受容体拮抗薬/ホスホジエステラーゼ5阻害剤

Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「J&J」)は24日、エンドセリン受容体拮抗薬マシテンタン10mgとホスホジエステラーゼ5阻害薬タダラフィル40mgとの配合剤である「ユバンシ®配合錠」(以下「ユバンシ®」)について、肺動脈性肺高血圧症(Pulmonary Arterial Hypertension: PAH、World Health Organization [WHO、世界保健機関] Group I [PH、肺高血圧症])を効能又は効果として、製造販売承認を取得しました。

代表的なPDE5阻害薬は以下のようなものです。 薬剤名, 投与頻度

Johnson & Johnsonの肺動脈性肺高血圧症ポートフォリオとして
欧州治療ガイドライン1が推奨する3大経路に属する全ての治療薬を提供することに

5分で読むACC.23まとめ Part.2 ~HFpEF患者に対する心房ペーシング

有効性及び安全性プロファイルが示された2つの治療薬を1日1回服用の配合錠に
疾患管理を最適化できる可能性

タダラフィル 153)も CYP3A4 で代謝されるため,ボセンタ

(1) 治験薬投与開始3 ヵ月前から可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤,L-アルギニン,プロスタノイド製剤(剤型は問わず),又はプロスタサイクリン受容体作動薬(経口,吸入,又は点滴)による治療を受けた患者
(2) 治験薬投与開始3 ヵ月前からERA とPDE-5i の併用を行っている患者,又はERA とPDE-5iの併用療法に忍容性がないことが判明している患者
(3) 治験薬又は治験薬の添加物に過敏症を有する患者
(4) 治験薬投与1 ヵ月前から強力なチトクロムP450(CYP)3A4 誘導薬による治療を行っている患者
(5) 治験薬投与1 ヵ月前から強力なCYP3A4 阻害薬又はCYP3A4 及びCYP2C9 の両方に対する中程度の阻害薬又は中程度のCYP3A4 阻害薬と中程度のCYP2C9 阻害薬の併用による治療を行っている患者
(6) ドキサゾシンを投与している患者
(7) 持続投与又は間欠投与で有機硝酸剤による治療を行っている患者
(8) RHC 前又は治験薬投与開始前1 週間以内に利尿薬による治療を開始,もしくは用量を変更した患者
(9) 治験薬投与開始前3 ヵ月間以内に他の治験薬を投与した患者
(10) スクリーニング時のボディマス指数(BMI)が>40 kg/m2 の患者
(11) スクリーニング時に駆出率は維持されているが,心不全の以下のリスク因子が3 つ以上存在することが判明している患者
・ BMI >30 kg/m2
・糖尿病(タイプ不問)
・本態性高血圧症(コントロール良・不良は問わない)
・以下のうちのいずれかの冠動脈疾患:
− 安定狭心症の既往
− 冠動脈に50%以上の狭窄があることが判明している
− 心筋梗塞の既往
− 冠動脈バイパス手術及び/又は冠動脈ステント留置術の既往がある,又は実施が予定されている
(12) スクリーニング前のいずれかの時点で中等度又は重度の閉塞性肺疾患であることが判明している患者
(13) スクリーニング前のいずれかの時点で中等度又は重度の拘束性肺疾患であることが判明している患者
(14) 治験担当医師の判断により,臨床的に重大な大動脈弁疾患又は僧帽弁疾患,収縮性心膜炎,拘束型又はうっ血性左室心筋症,致死的不整脈,重大な左心機能障害あるいは左室流出路閉塞を有する患者
(15) 治験担当医師の判断により,永続性心房細動であることが判明している患者
(16) コントロール不良の甲状腺疾患(甲状腺機能低下症,甲状腺機能亢進症)が判明している,又は甲状腺疾患が疑われる患者
(17) 肺静脈閉塞症であることが判明している患者
(18) スクリーニング時のヘモグロビン(Hb)が100 g/L(
(19) 治験担当医師によりプロトコルに規定された軽度~重度の肝障害と判断された患者
(20) スクリーニング時に血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及び/又は血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が基準値上限の1.5 倍を超えている患者
(21) スクリーニング時にプロトコルに規定された軽度~重度の腎障害を有する患者
(22) スクリーニング時又は無作為化時にプロトコルに規定された全身性低血圧を認めた患者
(24) スクリーニング前26 週間以内に急性心筋梗塞又は脳血管イベント(脳卒中など)を発症した患者
(25) 治験担当医師の判断により,出血性障害である患者
(26) 非動脈炎性前部虚血性視神経症のために片眼又は両眼を失明している患者
(27) 網膜色素変性症を含む遺伝性網膜変性症患者
(29) 大型錠剤を嚥下するのが困難なため,治験薬投与計画を遵守できないと考えられる患者
(30) 二重盲検投与期間に臓器移植を含む外科的処置が予定されている患者;軽微な処置は除く
(31) 治験薬投与開始前12 週間以内に心肺リハビリテーションのための運動トレーニングプログラムを受けた患者,又は治験期間中に開始する予定の患者
(32) 妊娠中,授乳中,又は妊娠を予定している患者
(33) 治療アドヒアランス,治験評価,治験実施,又は治験担当医師によって判定される結果の解釈を妨害する可能性がある因子又は疾患(薬物依存症又はアルコール依存症,精神疾患,歩行器の使用など)を有することが判明している患者
(34)余命12ヶ月未満の致死的疾患を併発していることが判明している患者
(35)スクリーニング時のRHC前3カ月以内にカルシウム拮抗薬の投与を開始した又は用量を変更した患者

タダラフィル 20mg 錠剤は、割り当てられた治療順序に従って経口投与されます。 他の名前:

- 説明文書・同意書に署名・日付を記入した患者

- WHO FCI II 又はIII の症候性PAH と確定診断されている患者

- WHO PH 臨床分類第1 群の以下のサブグループに該当する症候性PAH [Simonneau 2013]
・特発性
・遺伝性
・薬物又は毒物誘発性
・以下の疾患に伴うもの
− 結合組織病
− HIV 感染症
− 門脈圧亢進症
− 外科的手術実施から1 年以上経過後の右心カテーテル検査(RHC)により肺高血圧症の持続が確認されている単純先天性体循環-肺循環短絡を伴う先天性心疾患(心房中隔欠損症,心室中隔欠損症,動脈管開存症)

- 無作為割付け前5週間以内に実施された安静時血行動態評価(中央判定)によりPAH の確定診断がされている患者

・平均肺動脈圧(mPAP)が25 mmHg 以上,及び
・肺毛細血管楔入圧(PAWP)又は左室拡張末期圧(LVEDP)が15 mmHg 以下,及び
・肺血管抵抗(PVR)が3 Wood Unit 以上(240 dyn・sec・cm−5 以上)
・特発性,遺伝性,又は薬物/毒物誘発性PAH に対し肺血管反応性試験が陰性の患者(診断時に血管反応性試験を実施していない患者は,現在,PAH 療法を3 ヵ月を超えて受けており,PAH療法の導入から3 ヵ月以上経過後に血行動態評価によってPAH の診断が確定されている場合,参加可能である)。
・ ベースライン時のRHC 実施3 ヵ月前から,プロトコルに規定している用量のERA 又はPDE-5iによる単剤治療を受けている患者、又はPAH 治療薬の投与歴がない患者
・ スクリーニング時の6MWT で100-450 m 歩行可能な患者

- 妊娠する可能性のある女性で以下に該当する患者
・スクリーニング時の血清妊娠検査で陰性,かつ無作為割付け時に尿中妊娠検査で陰性
・治験期間中は月1 回,治験薬投与中止時は投与中止後30 日までに,尿中妊娠検査を受けることに同意
・スクリーニングから少なくとも治験薬投与中止後30 日まで治験で定めた避妊手順に従うことに同意

以前にこのお薬の成分に対して過敏症(アレルギー)を起こしたことがある方

ヤンセンファーマ株式会社の取締役 研究開発本部 本部長のアマナス・シャーマ氏は「肺動脈性肺高血圧症の治療では、症状をコントロールするために、作用機序の異なる複数の治療薬を併用することがあります。2つの治療薬を配合剤とすることで、PAHの患者さんに新たな治療選択肢を提供するだけでなく、服薬の負担軽減という患者さんのニーズに応え、患者さんの治療や生活に新たな変化をもたらすことが期待できます」と述べています。

肺動脈性肺高血圧症(PAH)について

今回の申請は、日本および海外で実施された第III相A DUE試験の結果に基づくものです。同試験は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者さんを対象に、マシテンタンとタダラフィル配合剤の有効性と安全性をマシテンタンとタダラフィル各単剤療法と比較しました。同配合剤は1日1回経口投与の薬剤です。

新薬や医療機器の申請・承認・発売情報はこちらです。

肺高血圧症は、心臓から肺へ血液を送る血管である肺動脈の血圧が高くなる疾患であり、そのうちの1つが肺動脈性肺高血圧症(PAH)す。肺動脈圧が高くなる原因は、肺の細い動脈(肺小動脈)の内側の空間(内腔)が狭くなり、心臓から肺に送られる血液が流れにくくなるためです。肺小動脈の内腔が狭くなる原因は十分に解明されていませんが、免疫の異常や遺伝的な要因、その他何らかの環境因子が関与していることがわかっています。

【本件に関するお問合せ先】

ヤンセンファーマ株式会社は10月23日、エンドセリン受容体拮抗薬「マシテンタン10mg」とホスホジエステラーゼ5阻害薬「タダラフィル40mg」との固定用量配合剤について、成人の肺動脈性肺高血圧症(PAH)を効能または効果として、製造販売承認を申請したと発表しました。